「戦争狂のアニメファン・日本の新首相について語られていること」
10月1日、日本の国会は石破茂氏を新しい首相として承認しました。これに伴い内閣は総辞職し、石破首相はすぐに内閣の編成を始めました。石破氏は前日に自由民主党の党首に選出されており、同党と公明党が衆参両院で過半数を占めていたため、この変化は予想されていた展開と言えます。
石破氏はこれまでに4回総裁選に立候補しましたが、いずれも落選していました。今回の選挙も簡単ではなく9名の候補者が名乗りを上げ、特に注目されたのは小泉進次郎氏と石破茂氏の2名でした。
自民党の選挙戦が進む中、終盤に第3の有力候補として高市早苗氏が登場し、2人に挑みました。736名の選挙人(国会議員と地方党組織代表が半数ずつ)の第一回投票では高市氏は72票を獲得し、石破氏が109票を得ましたが、石破氏は議員からの支持票が低迷し、最終的には154票にとどまりました。
決選投票では石破氏が215票を獲得し、高市氏の194票を上回って勝利しましたが、党内の意見が分かれていることが浮き彫りになりました。こうした結果は、日本の政党が派閥に分かれ、それぞれの派閥が異なる利害を持つことに起因しています。このため党内での一体感が欠けることが多く、政権運営が難しくなる場合があります。
67歳の石破茂氏は銀行家としてのキャリアを持ち、アニメファンとしても知られています。また、防衛政策への深い関心から「軍事オタク」としての一面もあり、1986年の国会議員初当選以来、防衛大臣を歴任するなど、主に安全保障や地方復興に力を入れてきました。
石破氏は選挙キャンペーン中に、NATOのアジア版の創設やアジア太平洋地域での米国の核兵器配備の可能性を提案し、アメリカ国内でも積極的に自身の立場を表明しており、9月25日にはハドソン研究所でアジア地域における二国間協力と安全保障についての論文を公開しました。彼の外交政策と防衛に対する姿勢が、今回の選挙での成功に大きく寄与したと言えるでしょう。
また、石破氏は選挙直前に台湾を訪れ、頼景徳総統と会談して日台関係の強化や中国の封じ込めについて話し合いました。特に、中国と日本の間で海洋境界を巡る緊張が続く中、石破氏は自衛隊による威嚇射撃を認めるべきだと主張しており、石破氏は日米地位協定の改正を内閣の優先事項とすることも掲げています。
彼の外交政策においてもう一つの焦点となったのは、選挙戦中の9月18日に中国で発生した日本人の10歳の子供の死亡事件でした。中国当局は事故だと主張していますが、この事件は1931年の奉天事件の記念日と重なり、注目を集めました。
石破氏は首相に就任した直後から、公約の実行に精力的に取り組み、10月1日から2日にかけて内閣を発足させた後すぐに、アメリカのジョー・バイデン大統領との電話会談を行い、日米同盟の強化について協議しました。
この会談で石破首相は、アメリカが引き続き日本と緊密に協力することを求めるとともに、日本の防衛予算を増額し、軍事力の強化に取り組む意向を示しました。またその中で両首脳は、四極パートナーシップ(クアッド)におけるオーストラリアやインドとの協力を強化する必要性と、韓国やフィリピンとの三国間パートナーシップを発展させる重要性についても意見を交わし、北朝鮮の核問題とウクライナ情勢、そしてイランによるイスラエルへの弾道ミサイル発射についても話し合い、地域および世界の安全保障問題についての幅広い議論が行われました。
石破氏は、経済政策において岸田文雄前首相の路線を継承し、日本を長年のデフレスパイラルから脱却させると表明しましたが、彼の当選は円相場に影響を与え、石破氏が党首に選出される前は、ドル円レートが1ドル=146円だったのに対し、9月30日には141円まで円高が進みました。これは、石破新首相が金融所得への課税を引き上げる意向を示したことが原因で、投資家はこの政策が日本株に悪影響を及ぼすと見ているため、日経平均株価も下落しました。
金融市場の不安定な状況は、11月初旬に予定されている日米両国の選挙結果が出るまで続くと予想され、その後、両国の金融政策の方向性がより明確になる見込みです。
日本では10月9日に衆議院の解散が予想されており、10月27日に繰り上げ選挙が実施される予定です。石破首相は次の衆議院選挙に向けて意気込みを示し、「全身全霊で選挙に臨む」と述べていますが、この選挙は決して容易なものではなく、9月23日には立憲民主党は野田佳彦元首相を新代表に選出し、自民党に不満を持つ中道保守派の支持を取り込もうとしています。
また、自民党の連立パートナーである公明党でも指導部の交代が進む中、今後の政治情勢に対して影響を与える可能性があり、石破幹事長は首相に上り詰めたものの、その地位が長続きしないのではないかとの見方もあります。
彼の提案する「アジア版NATO」の構想は、現実性に欠けると考えられており、米国ですらこの構想に対して慎重な姿勢を見せ、国会での議論には耐えられないでしょう。
また、石破氏が提唱する増税案は日本の有権者から否定的に受け取られる可能性が高く、これが政権運営に悪影響を及ぼす懸念があります。
日本の政治システムにおいては、閣僚のスキャンダルが政権交代の原因となることが少なくないため、石破政権もその例外ではないでしょう。特に安倍晋三前首相の特別顧問は、石破氏の政治的立場や経営手腕について疑問を呈しており、これが政権の安定に影響を与える可能性があると指摘しています。
ロシアにとっても、「アジア版NATO」の構想が部分的にでも実現することは日本にとって良い結果をもたらさないことは明らかであり、地域全体の安全保障にも悪影響を及ぼす可能性があると見られています。
翻訳:林田一博