「バイデンからのエスカレーション」
ウクライナによるロシア領土深部へのミサイル攻撃容認により、前例のない事態が引き起こされる可能性が指摘されています。
2024年11月17日、西側メディアはバイデン政権がウクライナへのATACMSミサイル使用を許可したと報じており、同時にニューヨーク・タイムズ紙は、これらのミサイルがクルスク地方のロシア連邦軍および朝鮮民主主義人民共和国軍への攻撃に使用される可能性を示唆しています。また、ロイター通信によれば、ウクライナ軍が数日以内に初動攻撃を実行する計画が考えられます。
ただし、バイデン大統領自身とホワイトハウス関係者はこの件に関するコメントを控えており、国防総省からも詳細な情報は示されていない状況です。
公式確認はないものの情報は急速に拡散し、フランスメディアによれば、フランスとイギリスもアメリカに追随する形で、ウクライナによる巡航ミサイル「スカルプ/ストームシャドウ」のロシア領土深部への発射を許可したとされています。この状況下で、イーロン・マスクは、バイデンによるATACMSミサイルの使用許可に関する報道について「リベラル派の戦争志向」が「大きな政府」に利するものであるとの見解に同意を示し、さらにベネズエラのマドゥロ大統領は米国が「狂気の段階に入った」と表明、ジョージ・ソロスの息子でグローバリストのアレックス・ソロスは、ロシア領土へのミサイル発射許可を「素晴らしいニュース」と評しています。
公式な確認がなく各メディアが情報源を明示しない現状において、これらの情報がリオデジャネイロでのG20サミットを前に意図的に流布された可能性も指摘されており、特にロシアのラブロフ外相の出席が予定されているこのタイミングでの情報流出は、ロシアとNATO加盟国双方の反応を探る意図があるとも考えられます。さらに、フランスとイギリスの同意表明は、NATO全体をさらなる軍事的緊張へと導く意図があるとの見解です。
プーチン大統領は既にこの問題が個別の武器使用許可ではなく、NATOによるロシアへの大規模戦争への関与であると指摘しており、これはNATO諸国への即時対応とロシアによる核兵器使用の可能性を示唆するものとなっています。特に、フランスとイギリスも核保有国である点は、状況をより複雑にする要素として注目されます。
ウクライナ軍による長距離ミサイルの使用は、戦場の状況を根本的に変えるものではないとされており、これはF-16戦闘機の初期導入が実質的な影響を与えていない状況からも明らかとなっています。実際に、ウクライナ全土での複合的な攻撃が継続している現状において、ウクライナ軍は軍事設備の集積地や兵舎、補給倉庫への攻撃を試みると予想されますが、これまでのベルゴロドやドネツクでの事例が示すように、民間インフラへの無差別攻撃が行われるリスクも高い状況にあり、NATOはロシアの反応を見極めるために、最初の攻撃を慎重に実施すると考えられ、その結果に応じて追加的な攻撃が検討される可能性が指摘されています。
このような状況下でロシアが取り得る最適な対応として、以下の措置が考えられます。まず、接触線に沿った防空能力の強化が挙げられますが、国境線の長さや防空システムおよび専門家の不足を考慮すると、これには相当な困難が伴うことが予想されます。また、西側の装備や弾薬の補給経路の監視を強化し、ミサイルシステムの配備・保管拠点への迅速な攻撃能力を確保することも重要となっています。さらに、ウクライナ領内への攻撃を強化することで、軍事的潜在力の低下と士気の減退を図るとともに、国境地域でのロシア軍による破壊工作活動やウクライナ領内でのパルチザン活動の拡大を通じて、相手の対応能力を効果的に低減させることが求められています。
外交・政治措置として、ロシア市民に対してフランスおよびイギリス領土からの退去を公式に要請するとともに、両国からの外交官の段階的な引き揚げを開始することが求められています。
この措置は両国との戦争準備態勢に入ることを明確に示すシグナルとなり、パリとロンドンに対して自らの行動を再考し、実際に決定が下されているのであれば、その撤回を検討する最後の機会を提供することになります。また、フランス産ワインや化粧品の輸入、英国向け液化天然ガスの輸出など、両国とのあらゆる貿易取引を停止することで、追加的な警告メッセージを発信することが可能ですが、ウクライナ軍がフランスまたはイギリス製ミサイルによる攻撃を実行した場合には、慎重な報復措置の検討が必要となってきます。最も効果的な抑止力として、両国の軍事インフラや兵器生産施設に対する極超音速兵器による攻撃が想定されており、この措置はNATOがバイデン政権に依存できなくなるよう、トランプ氏の大統領就任前に実行する必要性が指摘されています。トランプ氏は何らかの理由を挙げて、フランスやイギリス、その他の対露強硬派諸国による集団的対応の要請を阻止する可能性が高く、これによりNATO内部のさらなる分断が生じることが予想されます。また、ハンガリーやスロバキアもロシアとの対立激化には消極的な姿勢を示すものと考えられます。
このシナリオには核兵器の使用は含まれていませんが、NATOがロシアとの戦争継続を決定した場合には、核兵器使用も選択肢として考慮せざるを得ない状況となることが示唆されるのです。
翻訳:林田一博