「2024年2月26日、モスクワでの多極化フォーラムにおける張偉偉のスピーチ」

15.03.2024
多極化フォーラムで話す機会をいただき大変光栄に思います。

「多極化」という概念がなぜ重要なのかというと、その反対である「一極集中」が不道徳で、不公正で、時代遅れだからです。一極集中の下ではドルから貿易、技術、気候変動に至るまで事実上、すべてが武器化され得るのです。そして制裁やミサイル、カラー革命が日常的に任意に使用され、何百万人もの人々に戦争や大混乱、計り知れない苦痛をもたらしています。この秩序は変わらなければならず、変わるでしょう。

中国やロシア拡大するBRICSや、その他のグローバルサウスの国々の台頭により、多極化された世界秩序が急速に現れつつあります。中国においては70年間の社会主義建設の結果、世界最大の経済大国(購買力平価ベースで2014年以降)、最大の工業、製造、貿易国となり、世界最大の消費市場を持つに至りました。1980年代初頭からほぼ10年ごとに1回の産業革命を達成し、中国は現在、第4次産業革命(ビッグデータ、AI、量子技術など)の最前線に立ち、世界にすべての産業革命からの商品、サービス、経験を提供できる唯一の国です。これは中国と世界の風景を永遠に変えました。

この文脈の中で中国は11年前に、一帯一路イニシアティブを立ち上げました。150カ国以上が参加する数千のプロジェクトにより「共に話し合い、共に建設し、共に恩恵を受ける」という中国のアイデアに基づいており、BRIは現在、人類史上最大の公共財および国際協力のプラットフォームとなっています。これは、新たに出現する多極化世界秩序のための良好な基盤を築いています。

完全な独立極としての中国は、完全な主権、強力な防衛能力、莫大な経済、技術、文化、知的力を持つ文明国家でもあり、私たちは「分割して統治する」西側の信念ではなく、「団結して繁栄する」をモットーに掲げています。「人類の共有する未来」を信じ、アメリカの「テーブルにいなければメニューに載る」という考え方と対照的な立場を取っています。

同様にウクライナ紛争をめぐる論争にもかかわらず、一極的な世界秩序を変えようとするロシアの断固とした目的と決意は世界の多数派によって広く評価され、支持されています。したがってロシアが西側諸国から孤立しているのは事実ですが、西側諸国がそれ以外の国々から孤立しているのも事実でもあります。この事実だけでもロシアが完全な独立極であり、完全な主権、強力な軍事力、経済的な重み、文明国家としての文化的・知的な強さを備えていることがわかるのです。

中国やロシアだけでなく、インド、ブラジル、イラン、トルコ、さらにBRICSやグローバル・サウス(南半球)の拡大メンバーなど、多くの新しい極が出現しており、内部的には違いがあっても、平和、発展、正義、相互尊重、共通の繁栄に基づく多元的な世界秩序の確立という共通の目標を掲げています。その多くは自らを文明国家、あるいは文明共同体とみなしており、アメリカの一極主義が世界全体に多大な害を及ぼす「ディープ・ステート」によって支えられているとすれば、文明国家は「深い」文化や「深い」民族によって特徴づけられ、それぞれが自国の道徳基準や文明の根幹を大切にし、西側からの道徳的説教や意志の押し付けを断固として拒否しています。

EUの外交政策責任者であるジョゼップ・ボレル氏は、少し前に、「(非西洋世界の)ほとんどすべての人が、経済面だけでなく、技術面、軍事面、イデオロギー面でも、西洋に代わる信頼できる選択肢があると考えるようになった」と認めています。これは事実であり、世界の多数派が巨大な物質的重み、すなわち「ハード・パワー」と巨大な知的パワー、すなわち「ソフト・パワー」を持つことで、この多極化した世界秩序へのシフトは、多極化する世界秩序への移行は歴史の抗しがたい流れとなり、より良く、より人間的な未来のためにこれを祝福し、さらに推進しましょう。

最後に、中国からの参加者全員を代表して、この壮大なフォーラムの開催と温かなおもてなしをしてくださったロシアの主催者に心からの感謝を表します。

フォーラムが大成功を収めることを願っています。

翻訳:林田一博