ターン4回目の終了

25.12.2024

ストラウス・ハウ世代論、または「第四の転換」では歴史が4つの転換期を通じて約20~25年周期で循環するパターンを示すとしています。

1. 高揚期(第一の転換期)- 強固な制度と社会的調和が実現される時代。
集団への信頼が高く個人主義的傾向が抑制される時期。

2. 覚醒期(第二の転換期)- 若い世代が既存の規範に異を唱る。
精神性と文化の革新をもたらす社会変革期。

3. 解体期(第三の転換期)- 社会制度が弱体化し個人主義が台頭する中で、公的機関への信頼が低下。社会の分断が進行する期間。

4. 危機期(第四の転換期)- 戦争・経済崩壊など、あるいは重大な社会変革などを通じて集団的な対応が不可避となる激動の時代。
新たな高揚期へと移行することで循環が完結する。

これらの循環はそれぞれの時代に生まれた世代(預言者型、遊牧型、英雄型、芸術家型)が持つ独自の特性によって形作られる集合的心理によって推進されており、この理論はこうした周期性の理解が将来の社会変動の予測と準備に寄与すると主張しています。
ストラウス・ハウ世代論はドナルド・トランプによって象徴される一つの歴史的周期から次の周期への移行を示すものであり、新保守主義とキリスト教シオニズムは危機期における本質的な要素として重要な課題を提起していると言えます。

この理論は特に社会性(全体性)と個人主義の関係性を考察する際に重要な示唆を与えており、これはL.デュモンの提起した二元論に通じ、社会性が高揚期・始原・春を表象し、個人主義が危機・終末・冬を意味する構図として描かれています。これは西洋の近代性の危機そのものであり、衰退の過程として捉えられます。西洋の唯名論と個人主義は歴史の冬を象徴しており、文化から文明への移行(シュペングラー)や存在の忘却(ハイデガー)を表しており、この世代論はより大きな歴史的周期を包含するものとして拡張することが可能です。

比較的短期の周期である世代交代や転換期を、- 伝統・近代・ポスト近代といった壮大な歴史の季節と重ね合わせることで、トランプという現象が一つの大きな時代、すなわち近代世界の終焉を示していると結論付けられます。
これは同時に西洋の近代性の終わりをも意味しており、ポストモダニズムは覚醒した文化とリベラル・グローバリズムの哲学的基盤として機能しながら、西洋の近代性に内在するニヒリズムを顕在化させています。これは終末の極致であり、西洋史の完結を意味します。

トランプはこの終末を決定づける存在として終わりの終焉を象徴していますが、彼が自身の使命を自覚しているのか、また新たな始まりを導くことができるのかという問いは残されています。次なる高揚期は相対的、限定的、局所的なものであってはならず、次の転換は世界規模での保守革命として実現されなければなりません。
次の高揚期は近代性すなわち西洋の個人主義、原子論、自由主義、資本主義の超克を意味するものでなければならず、西洋は自己超越を遂げる必要があります。このためにウィーバーの著作と政治的プラトン主義が重要な意義を持っており、次の高揚期はストラウス・ハウ的な意味ではない、真の覚醒となるべきです。

西洋の近代性は根本的な欠陥を内包しており、全面的な退廃と破滅をもたらし、反キリストの支配という形で頂点に達します。覚醒した文化は反キリストの文化そのものです。

次なる高揚期はキリストへの大いなる回帰以外にありえません。
キリストは世界の王であり、その権威は一時的にこの世の君主に簒奪されましたが、悪魔の支配は終焉を迎えつつあります。リベラル派は悪魔に憑依された存在とみなされ、近代性そのものが悪魔的なものとされます。ヒンドゥー教の概念では、このサイクルはカリ・ユガ(暗黒時代)として知られています。

トランプは単なる個人を超えた象徴的存在として位置づけられるのです。

 

翻訳:林田一博