BRICSは勢いを増している

07.11.2024
2024年10月22日から24日にかけてカザンで開催された第16回BRICS首脳会議は、素晴らしい成果と統一のダイナミクスを示した。
2024年10月22日から24日にかけてカザンで開催された第16回BRICS首脳会議は、素晴らしい成果と統一のダイナミクスを示した。
 
現在開かれている10カ国の非公式連絡会議は、さまざまな意味で画期的な成果を上げています。ロシアがこの部会議長国を務めた1年の間には、集団的西側諸国はグローバル・サウスの諸国を取り込もうと必死に動き、大規模な情報戦が展開されたにもかかわらず、BRICSへの本格的な参加に対する関心は大きく高まりました。すでに35カ国がBRICSへの正式参加を希望しており、カザンで行われたBRICS首脳会議には合計36カ国の代表が出席しました。そのうち22カ国は国家首脳が直接出席、6つの国際機関の代表が参加し、新開発銀行、ビジネス協議会、銀行間協力メカニズム、女性ビジネス連盟の議長による報告が行われ、各国首脳による二国間会談や、CIS諸国の首脳やアジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカの多くの国々からの代表団、多数の国際機関の執行機関のトップが参加するBRICSプラス/アウトリーチ全体会議が開催されました。
 
今回のサミットでは既に13カ国がBRICSパートナー国となり、パートナー国の地位を獲得した国々は、トルコ、カザフスタン、ウズベキスタン、アルジェリア、ベラルーシ、ボリビア、キューバ、インドネシア、マレーシア、ナイジェリア、タイ、ウガンダ、ベトナムです。この重要な地位の決定には国の規模や経済状態は影響を与えません。
 
ウラジーミル・プーチン大統領と習近平国家主席の会談後にロシア大統領は、ロシアと中国の関係は現代における国家間の関係構築に於いて、模範となっていることを強調し、さらにプーチン大統領は、「我々は、世界の安全保障と公正な世界秩序を確保するために、あらゆる多国間プラットフォームにおける協調をさらに強化するつもりです」と述べ、「我々の長年にわたる共同作業により、BRICSの権威と影響力は着実に増大してきました」と述べました。
 
また習近平国家主席は、「数十年にわたる中露関係は不安定な国際情勢の試練に耐え、長い道のりを歩む中で例外的な関係を獲得ました。」と述べ、「数世紀にわたる未曽有の地殻変動によって激しく変動する深刻な国際情勢が、両国の強固な相互支援という戦略的選択の不可侵性を揺るがす事はありません。」と述べました。
 
アントニオ・グテーレス国連事務総長が10月24日の会合で、国連憲章と国際法に基づくウクライナ紛争の平和的解決を呼びかけ、「ウクライナには平和が必要です。国連憲章、国際法、総会決議に則った公正な平和が求められています。」と述べ、「国連憲章の価値観、法の支配、領土保全、そしてすべての国家の政治的独立の原則を守りながら、現在世界で起きているすべての紛争を解決しなければなりません。」と付け加えました。
 
また、ウラジーミル・プーチン大統領は「我々は皆、一つの大きな家族として生きるべきです。それが私たちの生き方です。しかし、家族の中では喧嘩や不祥事、財産の分配を巡る問題がしばしば起こります。そして、時にはそれが争いにまで発展することもあります。」と述べました。同時にBRICSが「共通の家庭における良好な雰囲気の創造」を目標の一つとして掲げていることを強調した上で、「私たちはこの目標に向けて取り組んでおり今後も続けます。国連との緊密な連携も含めて。」とプーチン大統領は締めくくりました。
 
ここで重要なの事はBRICSが独立した組織として発表され、事実上国連と対等な位置づけにあることです。さらに国連事務総長の発言に関連して、国連憲章が民族の自決権を規定していることを思い出す必要があります。ウクライナとの関係では、国連憲章に基づきロシア人にはネオナチ政権からの分離の権利があり、2014年には一部の地域がこれを達成し、残る地域では現在ロシア軍が解放を支援しています。
 
国連自体の改革が必要であるとの重要な指摘もありました。国連の構造は現代の現実に適応すべきであり、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々が国連安全保障理事会により多く参加する必要があるとされました。西側が押し付ける秩序の背後には、これらの地域の国々の自主的発展を妨げる試みがあります。より公正な世界秩序への移行は容易ではなく、違法な一方的制裁と株式市場や外国為替市場の操作、さらに「民主主義への配慮」という名目で各国への干渉が行われています。
 
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は演説の中で、ウクライナにおける特別軍事作戦についても言及し、「ウクライナはロシアの安全保障に対する重大な脅威を作り出すために利用されています」とし、「ロシアに戦略的敗北をもたらそうとする者たちは、この国の歴史を知らず彼らの計算は幻想に過ぎません。」と述べ、さらに「中東における和解は歴史的な不公正を是正し、独立したパレスチナの創設によってのみ可能です。」と、主権あるパレスチナ創設へのコミットメントが再び表明されました。
 
BRICS諸国の世界経済への関与について、西側のアナリストによると今後5年間で世界経済はG7諸国よりもBRICS諸国に依存するようになると予測されています。国際通貨基金(IMF)の予測によれば、ロシア、中国、インド、ブラジルが今後の成長の大部分を占める見通しです。これに対し、米国、ドイツ、日本といったG7メンバーの世界経済への貢献は下方修正されました。またエジプトやベトナムなどの国々は、購買力平価で評価された場合には、経済成長においてドイツや日本に匹敵するレベルに達する見込みで、IMFの予測によると中国は引き続き世界経済への最大の貢献国となり、またインドはその影響力を大幅に拡大して2位につける見通しです。
 
BRICS首脳会議においてロシアのアントン・シルアノフ財務相は、西側諸国がロシア連邦の凍結資産から得た収入を利用することに対し、ロシアは対称的に対応し、西側諸国の資産から得た収入を国内で利用する方針であることを明らかにした上で、プーチン大統領によれば、BRICS穀物取引所といった新しいツールも導入され、外部からの干渉や投機から国内市場を守るのに役立つとしています。
 
拡大するBRICSの形式と能力について、外国からの来賓の評価もありました。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、「トルコは、公正な世界秩序と貿易関係を築くというBRICSの目標を信じています。」と述べ、同じくセルビアのアレクサンドル・ヴーリン副首相もまたその建設的な役割を評価し、「BRICSのメンバーは、コソボの承認やスルプスカ共和国の放棄、EUや他国への制裁を求めることはありません。BRICSでは何も要求されることなく、まったく新しい世界が提供されるのです。」と語りました。
 
10月23日に発表されたBRICS宣言は40ページ以上にわたり、最近のSCOおよびCISサミットでのテーゼをある程度繰り返しています。多岐にわたる問題について多くの項目が取り上げられていますが、これらはすべて世界の政治・経済構造の変革、または西側の「ルールに基づく秩序」に代わる多極化とより公正な世界秩序を求める動きに関連しています。同時に、EUは一方的な制裁の不許容に関する項目への関与を急いで否定しました。
 
サミット終了後のロシア大統領による記者会見では、「例外なくすべての会議とイベントは、伝統的なBRICSのビジネスおよびオープンな方式の中で、相互理解の雰囲気の中で行われた。この建設的な協力のアプローチにより、我々は3日間にわたって幅広い問題を詳細に話し合うことができた。」と述べました。
 
さらに、「BRICSは閉鎖的な形式ではなく、BRICSの価値を共有するすべての人々に開かれており、メンバーは外部からの指示や一部の狭いアプローチを誰かに押し付けることはなく、共同で解決策を見出す用意があることを確認した。」と述べました。
 
BRICSはこのような相互協力に関する世界的な需要の高まりに対して、応えざるを得ない状況にあり、さらなるBRICSの拡大の可能性を、特に「パートナー国」という新たなカテゴリーの設立に見る事ができ、その事について特別な関心が払われました。
 
サミットでは大統領の言葉を裏付けるように、複数の問題で対立する中国とインドの首脳が会談し、アルメニアとアゼルバイジャンの大統領も会談することができました。これはこのプラットフォームの重要性と、矛盾や誤解を解消するロシアの建設的な役割を改めて示していますが、このような問題において西側の参加と影響力が依然として重要な要素であることに変わりはなく、ウクライナを例にとれば、西側が政治的意思を押し付ける場所では、常に不和と紛争が生じることが示されていると言えるのです。
 
 
 
翻訳:林田一博