「ビーヴィスとバットヘッドの議論・アメリカを動かすのは誰か?」
90年代、マイク・ジャッジ監督のアニメ『ビーヴィスとバットヘッド』は、アメリカだけでなくロシアでも人気がありました。主人公は二人のアメリカ人の知的障害を持つティーンエイジャーで、互いに罵り合い、不条理な考えを次々に口にし、家庭内のどんな問題も解決できないのに、どうにかして人生を乗り越えていくというものでした。一連の愚かな行動が彼らを大惨事の淵に立たせるたびに、同じようにばかげた偶然や物事の論理の破綻が彼らを救い、もう一度チャンスを与えました。しかし、彼らはすぐにそのチャンスを逃してしまい、また同じことが繰り返されます。失敗に次ぐ失敗、ミミズを食べること、完全に間違った決断、あらゆる論理的なつながりを断ち切り、最後にはギターを持った角のある人々が女性や生きたヤギを食べるヘビーメタルのビデオを観ることになります。
トランプとバイデンの選挙討論で世界が見たものは、『ビーヴィスとバットヘッド』の新しいエピソードに過ぎませんでした。トランプはビーヴィスのリメイクであり、バイデンはバットヘッドのリメイクです。トランプの髪型さえもビーヴィスとそっくりです。そして、討論の内容も完全にこの番組の精神に則っています。
バットヘッド:「お前は年寄りの知恵遅れだ。俺より3歳だけ年上なのに、だからお前の方が年上だ。お前は俺より100歳年上だ」
ビーヴィス:「お前こそ100歳を超えてるだろ、霊と話したり、見えない椅子に触ったりして。お前はすべてを失敗したけど、俺はすべてを完璧にやったんだ」
バットヘッド:「いや、俺こそがすべてを完璧にやったんだ。お前がすべてを台無しにしたんだ。しかもお前は娼婦の猫だ」
ビーヴィス:「俺は猫じゃない。ストーミー・ダニエルズが誰かも知らない。俺の弁護士が彼女を引き裂くだろう」
バットヘッド:「お前はNATOを破滅させる」
ビーヴィス:「NATOって何だ?」
バットヘッド:「それに、なぜキャピトルを攻撃したんだ?」
ビーヴィス:「キャピトルって何だ?でもそんなことはどうでもいい。お前はもうすぐ死ぬんだ。俺たちはアメリカを再び偉大にするんだ」
バットヘッド:「いろんな人々を受け入れたからアメリカはすでに偉大になっているんだ。それをお前は台無しにしようとしている。見てみろ、何人もの移民が壁を越えているじゃないか。虹のように色とりどりだ。何時間も見ていたよ」
ビーヴィス:「お前は着飾ったウサギが怖いんだろ。俺はまた壁を作って、移民を閉じ込めてやる」
バットヘッド:「そうはさせない。俺のスーパーヒーローの友達、ゼレンスキーをつけてやる。彼は空を飛べる特別なタイトパンツを持っているんだ」
ビーヴィス:「あいつはペテン師だ。超能力で生きたまま焼いてやる」
バットヘッド:「お前こそ、3月の猫だから燃やしてやるか氷に変えてやる」
ビーヴィス:「ストーミー・ダニエルズが誰かも知らないのに...」
このようなやり取りが続く中、他のアメリカ国民はどの老人が最初に倒れるか、そしてどの老人が最後までくだらないことを言い続けるかを見て賭けているのです。
マイク・ジャッジのアニメそのものが、アメリカを超大国として、歴史的に未熟なまま人類を支配しようとするティーンエイジャーの意識を手厳しく嘲笑しています。アメリカは装填された機関銃を持った狂ったティーンエイジャーであり、国家は学校の狙撃手のようです。もし機関銃があるなら、この知恵遅れの論理では、それを使って誰にでも撃つべきなのです。
アニメの登場人物はティーンエイジャーですが、テレビ討論の登場人物は老人です。しかし、それがアメリカ人のアイデンティティの特殊性であり、アメリカは大人になれないのです。アメリカは致命的なキダルト(kidult)、すなわち子供と大人の間で永遠に立ち往生する存在なのです。精神医学には「ヘベフレニア」という診断があります。これは、思春期の精神障害であり、患者が自然に成長して大人の生活に適応できない状態を指します。
戦後の日本では、占領者の風習を模倣する中で、「ひきこもり」という現象が急速に広がりました。これは、成長を拒否し、部屋に閉じこもってコンピューターゲームに没頭し、親に依存して働くことも家庭を持つこともできない若者たちのことを指します。これは、アメリカの文化パターンを文字通り再現したものです。ビーヴィスとバットヘッドは大人になれず、成熟メカニズムが阻害された完全なヘベフレニストなのです。
その結果、マーベルシリーズのようなコミックを原作とするドラマが産業規模で氾濫しています。これらは10〜12歳向けですが、アメリカ中が視聴しています。大統領候補の討論会も同じようなものです。
討論会の結果、偉大な超大国の敗者たちはトランプの勝利を認めました。彼はよく持ちこたえ、その髪型は討論会の終わりには電池切れで単調にうなるだけの眠そうなバットヘッドよりも攻撃的で説得力がありました。
このような社会、このような文化、このような候補者、このような有権者が人類の運命を決定するのであれば、我々は終わりだと認めざるを得ません。臨床的に病んだティーンエイジャーが核のボタンを手にしていたら、そのティーンエイジャーを治療したり、開発技術を応用したりすることなど考えられません。
我々はロシアについて「神に支配されている」と言いますが、そうでなければその存在は不可解だからです。アメリカにも謎があります。そのような理由で、そのような人々で、そのような精神的問題を抱えながら、どうして世界で最も重要な大国になることが可能なのでしょうか。だから、もっと深刻で目に見えない誰かが支配しているのでしょう。そしてそれは神には見えません。むしろ、他の誰かかもしれません。
翻訳:林田一博